ちょっと前までこの寮で暮らしていて、一緒に暮らしているうちに仲良くなってこの人に告白された事がある。
こんなに素敵な人に告白されて、真央と岬さんが付き合っていると勘違いしていた時期だったから心が動いたのは間違いない。
今思えばこんな私が昴さんの告白を断るなぞ全国民に非難されかねない案件ではある。
「真央とは仲良くやってるみたいだね」
「えぇ…まぁ」
先程喧嘩したばかりです。
「本当に良かった。撮影現場でも真央は嬉しそうに静綺ちゃんの話ばかりしてるよ。聞いてて微笑ましくなっちゃう位」
振ったのにこんな素敵な笑顔を投げかけてくれる。昴さんは真央とは正反対の性格でとても大人だ。グリュッグエンターテイメントの社長のお気に入りなのも頷ける。
何となく真央と距離を取って昴さんたちと話していると、そこに岬さんがやって来た。改めて話すのは、初めてだったかもしれない。
「お久しぶり、静綺ちゃん」
「久しぶりですね、岬さん」
ああ…なんて可愛いのだろう。アイドルって本当に頭の上から足先までアイドルなのだ。
着ているワンピースもピンクのシフォンで可愛らしい。肌なんて透き通るほど白くって、折れそうな程細いのに出る所はちゃんと出ている。
アイドルの追っかけになる気持ちが分からなくもない。
にこりとアイドルスマイルを決めたかと思えば、意地悪そうな顔をして舌を出した。
「まさか真央がこんな普通の子と付き合うなんてさー」
ガンッと頭に何かを打ち付けられる衝撃。
「絶対私の方が可愛いしスタイルだっていいのにさー」
最もです。自分でもそう思います。



