くるりとこちらを振り返る真央。それを思いっきり振り払うように横を向いてしまった。
真央の怒りっぽい性格が筋金入りならば、私の素直じゃない性格も中々に引けを取らない。
たまによく付き合っていると思う。私がもっと上手に真央をコントロール出来れば余計な喧嘩も少なくなるような気もするんだけど。
何はともあれ、皆に囲まれて誕生日を祝ってもらう真央が嬉しそうで心から安心した。こんな晴れの日に喧嘩とかマジでやってない…けど。
そんな真央に駆け寄って隣をべったりと陣取っていたのは、岬さんだった。
南条岬は国民的アイドルグループのセンターを務める真央の昔の彼女である。
私と真央が付き合う前ふたりの仲の良さに勝手に勘違いして、復縁したと思い一度は真央への気持ちを封印したのである。
まさか今日も誕生日パーティーに来るとは…。あー!そんなにひっつかないでよッ。腕!腕組まないでってばぁ!
「久しぶり、静綺ちゃん」
やきもきしてるとそんな私に声を掛けてきたのは、昴さんだった。
「律ちゃんもプールに行った時以来だね。」
「え?!覚えていてくれたんですか?!」
「勿論、可愛い子は1回見たら忘れないからね」
りっちゃんは思わずその場でぶっ倒れそうになっていた。
「ちょっと昴さんナチュラルに人の意識を失わせるような事をしないでください!」
「え~?そんなつもりないんだけどねぇー」
そう言って笑う昴さんは相変わらず掴みどころがない。
大滝昴は真央と並ぶグリュッグエンターテイメントの看板俳優で、現在真央とダブル主演の連続ドラマの撮影をしている。



