私を抱き寄せて眼を瞑る彼がこんなに愛しく感じるようになってきたのは、いつ頃からだっただろうか。
「でも心配でもあるけどね~?」
「何がだ?」
「だってさ、真央はドラマの撮影現場でもバラエティ番組やニュース番組で
綺麗な女優さんとかキャスターさんと出会いの多い職業じゃない。
演者の人だけじゃなくても、スタッフさんにだって綺麗な人沢山いるだろうし
そう考えたら心配だよ~……。それに勝手なイメージだけど芸能人って遊んでる人間が多いし~」
「馬鹿な事を」
私の体を引き離した彼は、その場でしゃがみこみ強い瞳をこちらへ向ける。…何でそんなに目力があると言うのだろう。見つめられると思わずドキドキしてしまうのだ。
「この俺が認める女はこの世界にそんなに多くは無い。
それにこの俺がお前が良いと言っているのだから、それは誇りに思え。お前のような女は早々いない。」
その言葉に頬が緩む。
「あんたってさー…何でそんな偉そうなの?」
「それは俺が姫岡真央だからだ」
また意味の分からない事を。そう言い放ったら、私へとキスをした。
「でもやっぱり心配だなー、真央がその気なくったって真央を好きになる子はいると思うし」
「まあな。俺はかっこいいからな」
「はぁー…昴さんに見張っといてもらわないと」
その名前を出したら、真央の眉がぴくりと動いた。
そして抱きしめていた私の腕を引き離して、眉間に皺を寄せると鋭い瞳をこちらへ向けた。



