するとカチコチになった私の頬にゆっくりと触れながら、唇に充てるだけの優しいキスを落とした。それだけで頭はボーっとしてしまうんだけど。

そして少しだけ掠れた優しい声色で言った。

「静綺、無理する事はない」

ゆっくりと目を開く。

そんな優しい言葉を投げかける時の真央は決まって、少しだけ困ったような優しい笑顔をする。

それにはいつも胸がぎゅっと締め付けられる。いつだって意地悪な事を言っては怒らせるくせに、根はとても優しくて大切に私を扱ってくれる。同じペースで歩こうとしてくれている。

そういう所が大好き。 容姿だけではない。こんなに綺麗な心を持っている人、世界中を探し回ったって見つかりそうもない。いつもは偉そうな王様。でもその王様は根は情愛で満ちている。

ぎゅっと自分から真央に抱き着く。
耳を澄ませば、トクントクンと心臓の音が聴こえる。

「大丈夫…。私全部真央の物になりたいから…」

そう言って顔を上げて真央を見上げると、茶色のビー玉みたいな瞳を真っ直ぐとこちらへ向ける。

「そんな可愛い顔されると本当に止まらねぇぞ」

そう言って今度は深いキスを落とし、ベッドへと私を押し倒した。

シーツの波が動くたびに揺れる。大好きな人の温もりと重みを感じながら、棚橋静綺22歳。大人への階段を一歩上がります。

目の前には顔は王子様だけど、性格や中身は王様の彼と ここはただの都内のタワーマンションだけど、気分はお城で

私はただのどこにでも居る女子大生だけど、あなたがこんな私を選んでくれたから、私は物語のヒロインになれたんだ。

神様こんな気まぐれな奇跡を私にくれて、本当にありがとう。