「やっぱり静綺ちゃんみたいな子が真央の側に居てくれて良かった。
順調にいっていたお仕事を休むって言った時はまた心配をしてしまったんだけど、また始めてくれたのは静綺ちゃんのお陰ね。」
「いえ、私は特に何にも」
「あらぁ、そんな事ないと思うわ。
あの子大人になってからは私に自分の事を全く話さない子だったけれど、静綺ちゃんの話はよくしてくるんですもの。
可愛くってお料理も上手ですっごく好きな子なんだって!」
真央が……そんな事を?やばい。ニヤケが止まらない。嬉しくって仕方がないよ。
本人の前じゃあ中々言わないくせに。
お昼ご飯はほぼ私が作ってしまった。けれど和やかなランチタイムはあっという間に過ぎて
真央の両親とはとても仲良くなれたと思う。
お母さんの芽衣ちゃんは美しい容姿とは裏腹に親しみやすくて話しやすいし、けれど母親らしく真央を心配している一面もある。
お父さんは会社のオーナーとは思えない程腰の低い人でとても良い人だった。 不安でたまらなかったけれど、やっぱり会いに来て良かったと思う。
家族で居ても真央は余り話さなくて無口なままだったけれど、そういう時は照れている証拠な訳で
帰る時芽衣ちゃんは「また絶対に来てね」と言ってくれた。「真央をよろしく頼みます」とも。そういう訳で初めての彼氏のお宅訪問は大成功で終わりを迎える事が出来た。
そして真央の家を後にして、彼の車で私の実家へと向かう。実家に居る時とは打って変わり車内での彼は実に饒舌だった。両親の文句ばかり言っていたが、口ではそうは言ってもとても両親を愛しているのは十分に伝わった。



