「フンッ当たり前だろう?俺を誰だと思っている」
「超超超人気イケメン俳優姫岡真央」
ふっと笑いながらそう言うと真央は更に顔を真っ赤にした。
「お前馬鹿にしているだろう」
「馬鹿になんてしてないよー。本当にすごい人だと思ってるもん。
私と付き合ってるなんて今でも夢みたいだし…」
そう告げると、テーブルから身を乗り出して頭を優しく撫でた。 そして不器用にも優しく微笑むのだ。
「確かに俺はかっこいいし超人気俳優だが、その俺が選んだお前もそう悪くないと自覚しろ」
「えっらそーに!」
「何だその、お前は……まあまあ可愛い。」
言っていて自分で恥ずかしくなったのかその場でうめき声を上げて、顔を伏せてしまった。
「自分で言ってて照れないでよ…」
「うるせぇ…。女にこんな事はあんまり言わねぇんだから…ふー暑い暑い」
シャツの襟もとを掴み仰ぐと横目でこちらへ意地悪な視線を向ける。
素直じゃない彼はいつも正反対の言葉ばかり。けれど時たまこうやって素直になってくれる時はたまらない。
日々彼の言動に振り回されるけれど、私って結構振り回されるのが嫌いじゃない…。もしかしてドM?!
「しかし、すまんな…」
神妙な面持ちで珍しく真央が謝ってきた。
「え?何が?」
「その何だ…。せっかくの休日だと言うのに夜中まで仕事が入ってしまって…。
本来であるのならばお前を色々な場所へ連れて行ってあげたいんだが…」
「全然いいよー!」
努めて明るく言うと、何故か真央は不機嫌そうに口をへの字に結んだ。



