「ブラックが定番だとは思うけど」

「うーん、確かに無難だよね。
でも、真央はブラックやブラウンって言うよりもネイビーの方が似合うと思う!
あ!これいいなぁ。でもこっちも捨てがたいし…迷っちゃうよぉ…」

優柔不断な性格は相変わらず。
けれどこれはちょっと楽しいぞ?

今まで彼氏の為にプレゼントを選んだ経験は一切無し。だって彼氏自体がいなかった訳で。

ほぼ恋愛経験ゼロの私の初めての彼氏が人気芸能人ってかなりハードルが高いけれど、それでも好きな人の為に何かを選ぶのって楽しい。

プレゼントって自己満って言うけれど、あれはまさしく正しいのだろう。

貰った時の表情や言葉を想像してこんなにも楽しくなるんだもの。…あいつ、一体どんな顔をするのだろう。


芸能人の年収は歩合だから人気が出れば出る程上がって行く仕組み。姫岡真央は俳優として一流だから私が驚いてひっくり返ってしまう程の給料を貰っているのだろう。

その証拠に真央はお金に執着がない。都内の高級タワーマンションをセカンドハウスにしちゃう位だし、余りデートに連れて行ってあげれないから欲しい物は何でも買ってやるといつだって言う。…全部お断りしている訳だけど。

私は自分でも欲深い人間だとは思うけれど、プレゼントとかそういった高価な物だけじゃなくって…真央が隣に居てくれれば満足なのだ。そしてそれが何よりも贅沢なプレゼントであるには違いない。

迷いに迷った挙句、結局ネイビーのショートブーツに決めた。その間りっちゃんは何一つ嫌な顔をせずに私の優柔不断なプレゼント選びに付き合ってくれた。