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浮かれ切っていた。
真央の誕生日。

実家に行くのも、一緒に過ごせるのも。
しかし数日後。それは突然の報せだった。11月の終わり。真央の誕生日数日前の出来事。


山之内さんと坂上さんが並んで深刻そうにテーブルの椅子に腰を下ろす。珍しく警備員のたっさんまで居て、瑠璃さんと豊さんは不安な表情を浮かべていた。

怒り狂いテーブルを両手で叩きつけたのは、真央だ。そして叩きつけた後に真っ赤になった両手を痛がった。…マジで馬鹿。

「どういう事だ!」

真央の怒声が狭い室内にこだまする。

「社長が決めた事だって…ここの寮も老朽化してきたって…」

「そんなん会長は納得してんのかよ?!
俺は納得してねぇぞ?!寮を取り壊すなんて!」

そうなのだ。
これはあの芸能界の帝王の挑戦状のようなものなのだろうか。

何と、このグリュッグエンターテイメントの寮は来年の4月に取り壊されるというのだ。
それは余りにも突然の報告だった。

あの社長は私と真央を引き裂こうとしている。 その第一歩という事だろうか。どうなってしまうのだろう。ここが無くなっても真央に会う事は出来る。

けれどこの場所は幼い頃からの真央の思い出がいっぱいつまっている場所だ。 
そしてこれから、一体何が起こっていくと言うのだろうか。