「緊張するけど、楽しみ!」

「ああ…ゆっくり静綺と1日過ごせるのもあんまりないからな。
何かごめんな?俺が忙しすぎて…」

「全然だよ。私真央が仕事頑張ってるの嬉しいもん。テレビで見るのも好きだし、真央のお陰でテレビを見るようになったんだから」

笑顔で言うと、真央は再び私へ抱き着いてきた。

「可愛すぎる……」

無意識に出ている言葉に彼は気づいているのだろうか。耳元で囁かれる言葉が私の鼓膜を優しく揺らして、また温かい気持ちが胸いっぱいに広がって行く事を。

「可愛いのは真央だよ~…」

「男に可愛いは褒め言葉ではない。
静綺…お前はふとした瞬間とても可愛らしく、そして健気で思いやりに溢れているから…そんな姿を他の男に見せてしまったら誰でもお前に惚れるから気をつけろ。
出来るだけ俺以外の男の前では不愛想を通せ。あまり可愛く笑うな。お前の笑顔は可愛すぎるんだから」

天邪鬼が素直になると破壊力がすごい。
潤んだ美しい茶色の瞳でジーっと見つめられると、女の私だってこう体が疼く。
触れられて、それ以上の事をしたくなる。もっともっと真央の事を知りたいし、近づきたい。

雰囲気に流されたまま真央は私をベッドへ押し倒し、着ていたティシャツに手を掛ける。その瞬間ベッドから突き落とした。

「ここは寮です!」

「いってぇなぁー…寮じゃなくっても駄目じゃねぇか!」

「だって怖いんだもん!デリカシーがないのよッ!あんたは!」

「あんまり我慢させるな!」

「うるさい!うるさい!」

そうして、今日も結局は喧嘩で夜は幕を閉じて行くのであった。