「へぇ。まぁ…寮でゆっくりとしましょう」
その言葉に真央は怪訝そうな顔をした。サプライズパーティーの事はバレてはいけない。絶対に!絶対に!絶対に!
その様子をおかしく思ったのか、真央は体をゆらゆらと揺らし、私の顔を左右から覗き込む。目線を逸らし宙を見つめる。…秘密とか苦手なんだから!
「何かお前様子おかしくねぇ?」
「べっつにー?」
「それよりどこかに出かけようぜ?どっかに一泊するのでもいいし」
「いや、それは無理!夜寮に用事があるし!」
「寮に用事?
まぁいいけど。でもせっかく1日オフなんだ。午前中からどこか行こう。
超超超売れっ子芸能人なお陰で静綺には寂しい想いばかりさせているからな。」
「超超超売れっ子芸能人ねぇ……」
間違いはないけどね。
「あぁ?!何か言ったか?!」
「何にも言っておりませぬ…」
「その、まぁ何だ。静綺の行きたい所に行こう。
デートらしいデートも中々させてあげられねぇからな。遊園地か?!水族館か?!」
その気遣いはとても嬉しい。…だが人混みは…。
「あんまり人目につく所は………」
「俺は別に平気だけどな。あ、そうだ。じゃあ千葉にでも行くか?」
「千葉ぁ?!」
そこで何故に千葉なんだ。そりゃあ都内よりかは人が少ないだろうけれど。 千葉なんて…ネズミの国しかないだろう。いやそもそもあそこは人気レジャースポットだから却下だけど。
それに私は千葉生まれだ。何故せっかくの休日に自分の地元に……。
すると真央は照れくさそうに頬を指で掻いた。



