「そういえば今日23時からのバラエティに昴さんがゲストで出るんだった。見ようっと」
テレビの電源を入れると、何故か逆鱗に触れたらしくリモコンを取り上げられテレビの電源を落とす。
それを数回繰り返し、互いに顔を見合わせ笑い合う。
「別にいいですよぉーだ。瑠璃さんが録画してくれてるしぃ」
「なッ!貴様!俺のようなイケメンの彼氏がいながらも…まさか昴にまだ未練があるとか…」
「馬鹿じゃないの?それに自分で自分をイケメンって言うの未だに引くんですけど…」
この時間は至福だ。何をするでもなく一緒に居れる時間。
寮にいる平日はどんなに仕事が遅くなろうと、真央は私の部屋に顔を出す。
それが真央の部屋だったりもするけれど、とにかくふたりきりになる時間を彼は設けてくれる。
「お前は…!」
そう言うと、床に座っていた私の体が宙に舞う。
後ろから軽々と抱き上げられ、ベッドの上で向き合う形になる。
改めて見たって、何度見たって、姫岡真央の美しさは変りはない。 初めて会った時はこんなに美しい人がいるものかとも思った。
真央は私の顔を真剣に見つめたかと思うと、ぎゅーっと強く抱きしめてきた。ふわりと香る真央の匂いが好き。どうして顔が綺麗な人は体臭までもが良い匂いなのだ。
胸に顔を埋めて幸せに浸っていると、真央はぽつりと言った。
「あー…幸せ」
同じ事を考えていると知って、更に胸いっぱいに温かい物が広がって行く。
「癒される~…元気補充~…」



