今日も朝から栄養バッチリだと思う。
折角の日曜日。本来のカップルであるのならば一緒に夜を過ごした後、どこかにデートに出かけたりするだろう。
けれど真央は有名俳優であって芸能人、土日休みなどは関係ないのだ。変則的に動く職業であるが故に、会える時間は限られる。
秋に公開された2時間ドラマの評判は良かった。それに伴い冬の連続ドラマは既に決まっていて、撮影も既に始まっていた。
それでも真央は限られた時間で私とふたりきりになる時間も取ってくれた。
「うん、旨いな」
「本当?」
「あぁ、まあ…お前が作る物で不味い物はないからな……」
付き合い始めてから真央は少しだけ素直になったと思う。基本は変わらないのだが、素直な想いを口にする機会は増えたと思う。
「不思議だな。俺は人参嫌いなんだがお前の飯なら食える」
ダイニングテーブルで向き合う真央は、黙々とご飯を口に運ぶ。
私は頬杖をつきながらそれを見るのが好き。
サラサラの髪で、無駄な箇所なんてひとつもない程整った顔立ち。どの角度から見ても、美しい。女の私よりよっぽど。
未だにこんな人が私を選んでくれたのは信じられないのだ。
「何だよ?」
ジッと見ていたら、顔を上げて不思議そうな顔をしてこちらを見つめる。
「いや…かっこいいなと思って」
そう素直に思った事を口にしたら真央は顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
かなり不器用で照れ屋なのはもう理解している。素直に褒めたら可愛くない言葉が次に飛んでくるってのも知っていた。



