「僕も映ってた?!」
「ちらりとでしたけど映ってましたよ?」
真央の後ろで冬になるのに汗だくになっていた坂上さんの姿が…。
「かっこよく映っていた?」
「ええ、すごく」
「うわぁ~…嬉しいなぁ~…」
頬をほんのり赤くし喜ぶ坂上さんの頭を、真央は無言で叩きつけた。
「痛い!真央くん酷いなぁ」
「坂上さんがかっこよく映るわけないだろう?お世辞を間に受けてんじゃねぇよ。
つーか静綺お前せっかく俺があんなかっこよく交際宣言したというのに、なんだぁ?あのラインの返信は!!」
ぎろりとこちらを睨むけれど、ちっとも怖くなんかない。口元にケチャップライスをつけて、何を偉そうに言っているのだ。
「別に通常運行だけど」
「お前は冷てぇ。この超超超人気イケメン俳優の姫岡真央がカメラの前で全国民に向けて、お前なんかと交際宣言してやってんだぞ?!」
だからどうしてあんたはいつだって上から目線なのよ?!
自分で超超超人気イケメン俳優って言ってて恥ずかしくないのかしら?
「はいはい、それは光栄な事ですよ」
「気持ちがこもってねぇんだよ!全く俺ばかり静綺が好きみたいだろう」
「真央くんは静綺ちゃんが超超超好きだもんねぇ~ッ。
今日だって僕お腹がぺこぺこだったからどこかでご飯を食べて帰ろうって言ったのに、静綺のご飯がある!って言ってきかなかったもんね?」
坂上さんがニヤニヤしながら真央の顔を覗き込むと、真央の手がまた坂上さんの頭へ飛んだ。
そしてこちらをジーっと見つめ頬を赤くさせる。
愛される事を実感する時はこういった時だ。そして次に可愛くない言葉を発する事はもう想定内なのだ。



