「そんな事ないでしょうよ。美味しいご飯を作ってくれて、いっつも気遣ってくれて
真央は静綺ちゃんに意地悪ばかりするけれど、静綺ちゃんと一緒に居る時が1番楽しそう」
「あ~…!瑠璃もそれはそう思うよーッ?!
真央ちゃんって静綺ちゃんが可愛くって堪らないって感じだもん。
豊や坂上さんにまでヤキモチ妬くのはちょっと笑えるんだけど!」
「真央のヤキモチ妬きは病的だと思うわ…」
何故か笑えてきて、和やかな雰囲気。
未来の事はまだ何一つ分からない。
今年の春に私は大学を卒業して就職先も既に決まっている。社会人になれば今より時間に自由は利かないし、土日の休みなんか関係なく働く真央とはすれ違いばかりの生活になるかもしれない。
就職先は都内ではなく千葉だから、この寮から通うのは難しいだろう…。そうなれば真央と会う時間は今よりぐっと減るのは間違いない。
愛されている実感はあるけれど、まだ自信はそこまでない。そんな事を言ったらきっと真央はいつもの不機嫌な顔をして怒るだろうけれど。
そんな事をふたりと話しているうちに豊さんが帰宅して、21時過ぎに真央と坂上さんが帰宅した。
「お~…オムライス~…」
分かりやすくご機嫌で目の前に出されたオムライスに目を輝かせる真央。その隣で坂上さんは疲れ切って魂の抜けきった顔をしていた。
オムライスを差し出すと、勢いよく食べ始めた。その様子を見て真央は少し退いた目で見ていた。
「もぉー…今日は疲れちゃったんだよぉ。
真央くんと移動しようとしたら記者に囲まれちゃうしさぁ。」
「あぁ、見ました。」



