言いたい事は分かる。分かり過ぎているから、思わず黙り込んでしまう。
その時丁度お茶を淹れて来た山之内さんが事務室に帰って来た。
「お言葉ですが社長…。今の真央にとって静綺ちゃんはとても支えになっていると思います。
あの子が仕事を頑張れる原動力は現在彼女にあると言っても過言ではありません」
山之内さん…。それはちょっと過言なのではないだろうか。私別に何もしてないし。
「真央のメンタル面を支えるのはチーフマネージャである君や坂上くんの仕事ではないのかね?」
「そ、それは……」
あの山之内さんさえ責められてタジタジだ。見ていて思わずいたたまれなくなってしまう程。
なんつー高圧的な人なんだろう。大きな会社の社長という立場ならばこうなっても仕方がないのだろうが…。
ハァーと大きなため息をついて長岡さんは両手をソファーに投げっぱなした。
「大体私はそこまで真央に目をかけるつもりはないんだ。
今回のドラマだって昴へとオファーが来た物を上層部の人間が真央をごり押しにしたから。
グリュッグの現在の看板は昴で充分なのだよ?昴だけを売って行きたいと言うのに、あの石頭がいつまでも姫岡真央に拘って…」
話を聞いて長岡さんが余り真央を良く思っていないのだと理解出来た。
「真央は問題がありすぎなんだ。
体調を崩したかと思ったら、今度は女にうつつを抜かして
自分勝手で本当に困る」
「ですが、社長。やっぱりグリュッグの現在の看板は…真央です。姫岡真央なんです」



