「いえいえ棚橋さんが謝罪する事ではないのですよ。
ただ芸能界というのはイメージで売っている物ですから…。
真央は自分の立場というのはよく分かってはいないのです。
ただでさえ現在は売り出し中でうちの看板でもある。1年休養してたとはいえ、自社のタレントの中では高い人気のある子です。
ですので余り女性関係のスキャンダルというのも会社としては望ましくありません」
全くその通りでございます。ぐうの音も出ません。
私だってこの人の立場だったら、社長の立場だったら同じ事を考えていたかもしれない。
女性スキャンダルなんて、人気俳優にとっては致命傷になりかねない。真央は自分はアイドルでもないし恋愛禁止つーわけではないから何も気にするなって言うけれど
彼は公人で多大な女性の指示を受けている。その中で真央を本気で好きな子だってこの世界には何人もいるだろう。
「ハッキリと言いますが、別れて頂きたいのです。」
「ひょ?!」
思わず喉から変な声が漏れてしまった。
私は大間抜けな顔をしていたに違いない。
まさかまさかこんなに’ハッキリ’と’別れろ’と言われるのは想像していなかったからだ。
もっと遠回しに言ってくるものだと思った。
「真央が1年休んでいた間に色々な事が会社にはありました。真央がすべきだった仕事も他に代打を頼んだり
だからこそ復帰した今は大切な時期なのです。
大滝昴とダブル主演の冬の連ドラだって姫岡真央完全復活プロジェクトの為にゴールデンに無理やり押し込めたようなもんなんです。
だからこそ、そんなチャンスのある時だからこそ真央には仕事に100パーセント集中して欲しいのです。」



