画像の荒いテレビ画面の動画。そこにはお昼のワイドショーが流れていて、司会者が「VTRをどうぞ」と言って画面が切り替わる。
そこには仕事の現場に向かうらしき真央の姿が映し出される。
「ちょ、これ…!」
テロップには「姫岡真央熱愛?!お相手は某大学に通う美女?!突撃取材」と打たれている。…余計なお世話だ。大体美女ではないし。
「姫岡さん週刊誌にスクープされた女性との関係は?!」
余所行きの顔の真央がそこには映し出される。
いつもの私に見せる意地悪な笑顔なんかじゃなくって…テレビ用の爽やかな笑顔だ。
その笑みを1ミリも崩さずにハッキリと答えた。
「真剣にお付き合いしています」と。
濁す事など一切せずにハッキリと答えた茶色の瞳は真っ直ぐとカメラを捉えていた。
「彼女は一般人ですので、どうかそっとしておいて下さい。
詳しい事はお話出来ませんが、僕が今1番大切にしている女性です。」
それだけ言い残し、颯爽とその場から去って行く。そこでスタジオへと切り替わった。
りっちゃんは笑いながら甘ったるいため息を漏らす。
「やっぱり愛されてんじゃん。多分この人すっごく一途でしょう?それに綺麗な人や可愛い子なんて昔から見慣れてるでしょーが。
そんな人がここまでしてくれてるんだからそりゃ信じてあげなくっちゃ罰も当たるってもんだよ、静綺……」
「うん……」
言葉だけではなく、行動で示してくれる人。
俳優、姫岡真央は爽やかで甘い笑顔をする素敵な人。
でも本当の真央はもっと意地悪でちょっと天然で抜けている所があって…テレビ画面で見るよりもずっと素敵な人。



