【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜


「真央を支え続けてくれた事。」

「アハハ、私何もしてないですってばー」

「ううん。そんな事ない。私や会長はずっと小さな頃から真央を見守って来ていて親代わりでいたつもりだったけれど、あの子の本当の心の底にある苦しみを拭ってあげることが出来なかった。
芸能界は一見華やかで、いつも眩いスポットライトに照らされているように見えるけれど、光りは強ければ強い程、大きな陰を落とす。
きっとそんな世界の中で真央はずっと苦しんできて、辛い想いを沢山してきた。」

「そうですね。私には考えられない世界です。
出会ったばかりの頃は綺麗な顔で何でも手に入れて、悩みなんてないんだって誤解してましたもん。
でもきっと…真央だけじゃなくて、昴さんや岬さん。豊さんや瑠璃さんの心にだって」

寝静まった皆を見回す。
光りが強ければ強い程、陰を落とす場所。

スポットライトの下で選ばれた人間が見る夢は、きっとどこか儚い
そして儚い夢の先には?

手に入れた物と同等に失う物がある。真央にもきっとあったはずだ。
私は真央の失ってしまった物を拾い上げて、それごと抱きしめてあげれる人間になりたい。

「あなたみたいに真央の心に寄り添い合える子と出会えて本当に良かった。これからも真央をよろしくお願いします。」

そう言って、山之内さんは深く頭を下げる。

「山之内さんったら、そんな改めて…。大丈夫です。真央は何があっても演技のお仕事を辞めれる人じゃないから。
大好きで大好きで仕方がないんだから。
あんなに大好きなお仕事を辞めれる人ではないです」