まるで私との関係を清算するかのようにがらりとなった室内で、絶望に明け暮れた。
その場に崩れるかのように座り込み、ワックスの掛けられたぴかぴかの床に、涙がひと粒零れた。 止めどなく流れる涙が茶色の床に水玉模様を作って行く。
ぐいっと涙を拭くの袖で拭う。
’ここで泣いてばかりはいられない’
そう決めて、携帯を取り出して真央へとラインを送る。
『話があります。来てくれるまでマンションで待っています。』たったその一文だけ残して、真央から連絡が来るまで本気でここで待つつもりだった。
許してくれるまで謝って、きちんと話し合いをするまで納得なんかするものか。
この恋だけは捨てれないとあの夏の終わりに決めた。それを思い出していた。
ラインは直ぐに既読になった。
とはいっても返事は返ってこない。
この数日ずっとそう。既読にはなる。けれど返信は一切無かった。
直ぐに諦めてなってしまうのは悪い癖。自他ともに認める意気地なしだ。けれど今回だけは絶対に退くつもりはない。
2時間あっという間に経過した。
今日撮影が何時に終わるかは分からない。 何もないリビングの冷たい床に座り込んで、悪戯に時間が過ぎていくのだけを見守った。
「おいッ…おいって!」
どれだけ時間が流れたのかは感覚が無かった。
いつの間にか床の上で眠ってしまっていたようで、耳に聴きなれたハスキーボイスが響き、夢か幻か分からぬまま目をゆっくりと開ける。



