その言葉にはブラック珈琲をすすって目を伏せる。けれど直ぐに顔を上げて「気にすんな!」と笑顔を見せる。
雄太は昔から人気者だった。クラスのムードメーカーで、それが成長して背も高くなりこんなにかっこよくもなった。法学部で検事を目指しているという目標も素敵だと思う。
好意を抱かれる事は居心地の良い物だった。 けれど私の気持ちは少しも動かなかった気もする。一緒に居て笑い合って、時にはいがみ合ったりしても、側に居て欲しいと思う人はただ一人だったから。
過去にも未来にも、これ以上の恋に出会えるとは思えないんだ。
「それより星月と隼人良い感じみたいだね~」
「そうなの?りっちゃん何も言わないから…」
きっと何も言わせなかったのは、私だ。 私が最近落ち込んでいて、それは真央と上手く言っていないのが原因だと言うのは彼女には分かり切っていて、自分のせいだと自分を責め続けていたのだ。
「うん~隼人も星月がいいって言ってたし。
またこの間みたいに4人で出掛けるのもいいよな?」
雄太のその言葉に何も返せない。ハーッと大きく息を吸うと、顔を上げて真っ直ぐに雄太の目を見つめる。ぐっと拳を握り締めた。
「ごめん、私雄太にはもう会えない。雄太が私に少しでも好意があるとしたら、その気持ちを受け止める事は出来ない。
勘違いだったらごめんね。」
「また…姫岡さんに何か言われたの?」
「そうじゃなくって…もしかしたら別れるかもしれないし」
「え?そうなん?それならいいじゃん。全然俺ありじゃんッ」



