そして私はと言うと…。
勿論長岡会長の後押しもあった。
この春休み、時間は待ってはくれない。 真央はもう少しでイタリアに撮影で行ってしまう。その前に素直な自分の気持ちを伝えなくちゃいけない。
このままじゃあ嫌だ。たとえ振られるにしたって、きちんと伝えなくちゃいけない。
自分はどう思っているのか、どれ程真央の仕事をしている姿が好きか。そんな真央とこの先もずっと一緒に居たい。
この出会いは一生もので、きっとこれ以上の人になんてこの先出会える訳ないって。あの日真央が言ってくれた事と、同じ事を思っているんだよって。
でもそれを真央に伝える前に、私にはどうしても会わないといけない人が居た。
「嬉しいな、棚橋から誘われるなんて」
大学の近くのカフェ。私は雄太を呼び出していた。
引っ切り無しに連絡は着ていたが、その全てを無視して逃げ続けていたのだ。
混乱してパニックになると直ぐに逃げだしてしまうのは私の悪い癖で、こういう所は昔からの自分の良くない性格だって理解ってる。
気が強い癖にいざとなるとハッキリと言えない。そんな曖昧な態度が真央を苛つかせた。 そして雄太に関しても私がハッキリと意思表示をしていれば良かっただけの話なのだ。
「こっちこそずっと連絡を無視するような真似をしてしまってごめんなさい」



