「そんな事ありません。真央はハッキリと言いました。彼女とは将来の結婚も考えているから、そこは隠さずに公表させてくれ、と。
自分はきっとあなたと居る限りもっと良い役者になると僕に約束もしてくれました」
「真央が?」
「えぇ。勿論僕も真央の交際や結婚について反対は少しもしていません。
彼が活動を休止してから長い時間が流れました。その間僕や周りが何をしても真央は仕事をやる気にはなってくれなかった。このままだったら芸能界を引退してしまうのではないかと心配もしました。
それがあなたと出会って、今回のドラマを見て分かりました。きっとあなたと居る限り真央は僕との約束通りもっと素晴らしい役者になっていってくれると。
あなたが思っている以上に真央にとってあなたは大きな存在なのです。そしてそんな存在に出会えた事、僕は嬉しく思います」
引っ込んだと思った筈の涙が再び溢れそうになった。
温かい気持ちが体いっぱいを包み込んで、後押しをしてくれるような強い言葉。
グリュッグエンターテイメントの寮の存続は決まった。今年中にリフォームが入って、入寮する住人も増えるかもしれないとの事。
そんな説明をして長岡会長は寮を後にした。最後に優しく柔らかい笑みで「真央をよろしくね」と私へ頭を下げた。
その嬉しい報告に瑠璃さんや豊さんもホッと安心をしたようで、互いに手を取り合い喜びあっていた。



