【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜


「お前は何も不安になるな。普段通り生活をしていればいい。さっきも言った通り何かされてしまわないように人を用意しておく」

「そ、そんなのいいよッ!」

両手を思いっきり振ってそれを否定すると、その手を真央が掴んだ。

「俺が不安なんだ。確かに山之内さんの言う通り考え無しだったかもしれない。俺がお前の側に24時間居る訳にはやっぱりいかねぇから…
それにお前が周りからブスだの俺と釣り合わねぇとか言われるのは気に食わねぇなぁ!」

唇を尖らせてそう言った。思わずくすりと笑ってしまう。

「ブスだの俺とは釣り合わないって1番言ってるのはあんただけどね」

「俺はいいんだッ!俺には言う権利がある!」

「あーはいはい。そうですねぇ。まぁ周りの言う通りだよ。やっぱり私は真央とは釣り合ってないし、見る人から見ればブスだと思うしさ」

自虐ではなく本気でそう思う。だってやっぱり私ってどう見ても普通だし、人より秀でている所は見当たらないし。

私の言葉に真央は明らかに怒ったような顔を見せて、両手で頬をぎゅっと摘まんだ。

「あにすんのよ!」

「お前はブスではない!
ど、どちらかと言えば可愛いし綺麗だ!それにスタイルだっていい!
俺の知っている女の中では1番だ!」

ド真剣な顔をしてそこまで言い切ってしまうから、こっちが照れてしまうではないか。よくもそんな恥ずかしい事を言えるもんだ。

いつもは人にブスだの一般人だの散々言う癖に、他人からの言葉は受け入れないなんてどれだけ我儘なのだ。けれどそんな不器用な優しさが好きだった。