いつまで話していても平行線のままだった。
だって記事はもう出てしまった。
ネットで話題になるのは当たり前だし、出てしまったものはそれをもう止められない。
こ、これは大学側から呼び出されたりするのだろうか?芸能記者が学校に来たりもするんだろうか…。まさか実家まで調べられたりはしないだろうけれど。
私の事はまだいい。問題は真央なのだが…。真央の芸能活動に迷惑を掛けたり、彼自身に心労を掛けるのは嫌だった。誰よりも心の弱い人だったから。
「何を考えている」
寮の皆にご飯を食べさせて、後片付けをしてお風呂を済ませてから真央の部屋に行くのはいつもの変わらないルーティーンだ。
とは言っても寮に戻ってまだ1か月程しか経っていなくて、真央と付き合い始めてもまだ1か月だ。まさかこの1か月で自分が週刊誌に載るとは思わなかったけれど。
ベッドの隣にちょこんと腰をおろし、隣にいる真央の顔を見上げる。
やっぱり美しい。今でも自分と付き合っているとは思っていなかったけれど。
「何を人の顔をじろじろ見てんだ」
「いや…かっこいいなぁーと思って…」
素直にそう告げたら真央は顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。
「そんなの知っている!」
何故か嬉しそうに口角を上げている。口では可愛くない事ばかり言っていても、嬉しかったらしい。
まぁ……その美しい顔面が隣に並んでいると考えたら、落ち込んでしまう事もあるのだけど。
何て言っても私は特別可愛い訳ではなく、芸能人である彼と並んだらそりゃー一般人な訳で。
その不安を知ってか知らぬか真央は私の肩を自分の方へぐいっと抱き寄せた。



