「さっきも言ってたけどさ」
「え?」
「芸能人と付き合うのって大変じゃない?」
イルミネーションを真っ直ぐに見ながら雄太が言った一言。
「それは…」
大変じゃない。とは言えない。だってこうやって一般人である普通の大学生の雄太と一緒にイルミネーションを見たとしても、誰も騒いだりはしない。
けれど真央と街に出ればゆっくりする事は出来なくって、普通のカップルとはやっぱり違う。
それに芸能界に居るって事自体不安だし、私より綺麗な人なんて星の数程いる。
当たり前に土日の休みは無くって、不規則。予定も立てずらい。
「姫岡さん程の人なら行きたい所も行けないと思うしさ。そういう相手と付き合うのってちょっと疲れない?」
「疲れるとかそういうのはないけど、でもちょっぴり不安な事はあるかな。
だって真央の周り綺麗な人ばかりだしさ」
それは本音である。今回花乃さんの件もショックだったし、いつか目移りして捨てられちゃうんじゃないかって不安はつきまとう。
私より魅力的な人は沢山居て、私と付き合っている事さえ不思議でたまんないんだから。
「俺は芸能人と付き合った事なんてないから棚橋の気持ちは分からないけれど
俺だったら棚橋を不安にはさせないのにな。
こうやって普通のデートも出来るし、行きたい所も好きなだけ連れて行ってあげられるし」
離されたはずの指先が、再び重なる。
こちらを向いて、私の手を取った雄太。



