1月始めに撤去されるという新宿のイルミネーションは、大きなツリーを中心に若いカップルで現在も賑わっていた。
横を見ても前を見てもカップルだらけ。そこで手を繋いで上を見上げる私達も傍から見れば幸せそうなカップルに見えるのかもしれない。
「ぎょッ!」
そこで我に返って、雄太の手を乱暴に振り払う。
私ってば、何を真央以外の男と手を繋いで呑気にイルミネーションに見とれているんだ。
「ちょっとそんなにあからさまに嫌な顔されるとショックなんだけど…」
プッと笑いながら雄太が言った。
「ご、ごめん…。」
「こっちこそごめんな。無理やり連れまわす羽目になっちゃって。」
「いえいえ…そんな。てゆーかすっごく綺麗だねぇ。
私彼氏なんて全然居た事ないから、この時期のイルミネーションとか憎んだ事しかなかったよ」
「憎んだって、あっはっはっはっ。やっぱり棚橋おもしれー」
「だって私本当にモテなくって、彼氏なんて全然出来なかったんだからっ!」
「そうなの?!それは意外!
高校からは別れちゃったけれど、棚橋の噂は結構聞いてたんだよ。」
「それってめっちゃ遊んでるって奴じゃないの?!」
あの頃何故か別の高校に進んだ子達に遊び人とレッテルを張られていた。派手な顔をしているだけでそういう噂を立てられるのは珍しい事ではなかった。
「そうそう。二股してるんだよー?とか」
「勘弁してよ~…私彼氏が出来たのだって真央が初めてなんだよ?!
ほんっと昔っからこの顔のせいで損ばかりしかしないんだから…」



