【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜


平日だと言うのに都内のショッピングモールは賑わっていて、こんな騒がしい街でショッピングするのも久しぶりだと気が付いた。 まさか真央とはこんな人混みの溢れる場所に来れないし。

何故か新鮮な気持ちになってしまって、雄太の姉へのプレゼントを選ぶ名目で付き合っているのについつい自分が楽しみそうになってしまう。

「このコート可愛い!」
「このブーツも!」
「セータもスカートもかぁわいい~!」

最近は卒論の事もあってこういう風に友達とゆっくりショッピングも出来ていなかった。浮かれてしまっている自分にハッとして我に返る。

「あ…、ごめん。雄太のお姉ちゃんの誕生日プレゼントを選ぶって話なのに、ついつい自分の事ばかりになてしまって…」

「全然いいよー!棚橋も自分の物ゆっくり見なよ。
それに男ひとりだったら女の子のショップに入るのって勇気いるから、棚橋が付き合ってくれて助かる」

「でも…こういう買い物付き合ってくれる女の子なんて沢山いるでしょう?」

「全然だよー。俺ってあんまり女の子の友達も多くないし、だから困ってた所」

白い歯を見せてニッと笑う。優し気な表情。

モテない訳ない。その位私にだって分かる。爽やかで決して人を嫌な気持ちにさせない。こんな人モテない訳ないんだから。

「雄太のお姉ちゃんって昔っから綺麗で有名だったよね」

「そっかぁー?ねーちゃんの周りは綺麗な人多かったけど、今はもう結婚してるんだけどね、甥っ子は可愛くって仕方がない」

「そうなんだ。
ね、これとかどう?このワンピースめっちゃ可愛い~!」

「お、いいじゃん。やっぱり女の子に頼んだ方がねーちゃんの喜びそうなの見つかりそう」