「でも大丈夫?大学とか知られちゃてるし、学生も知ってるようだけど。
今は昔と違ってプライバシーの関係があってマスコミとかも棚橋の所には来れないだろうけど
芸能人と付き合うのって大変じゃない?」
「ま、まぁー…」
確かにこうやってお洒落なカフェでゆっくりとは出来ない。
普通の大学生同士がするデートはほぼ全滅だろう。どこに行ったってパニックになってしまうのはクリスマスで立証済み。
「それに姫岡真央って言えば誰もが知る売れっ子俳優だ。忙しいだろう」
「そうだね、でも一応毎日会えるけど」
「え?まさか一緒に住んでるの?」
「住んでるって言うか…。あの、私のアルバイト先が事務所の寮なのね。そこに真央も住んでるからね」
「へぇ、それで知り合ったって訳か。
それにしてもショック…。棚橋に彼氏がいるってのは聞いてたけど、それがまさかあの姫岡真央なんてさ
非の打ちどころがないよね、彼」
非の打ちどころがない?
奴が聞いたら「当たり前だ」と踏ん反り替えって偉そうにするのが目に見えている。
「でもあの人ブラック珈琲飲めないよ。
完璧そうに見えるけど、全然完璧なんかじゃないし。
天然な所もあるし、ポンコツだしね」
「そうなの?意外。何でも出来るってイメージしかない」
「それは皆事務所のイメージ戦略に騙されてるの!
私なんて最初はすっごい意地悪されたし…まぁ今も意地悪な性格は変わらないけど。
それに金銭感覚もちょっと違うし、大変な事は色々あるよ」



