「大体モザイクかけるなんて犯罪者じゃあるまいし」
その言葉に山之内さんは呆れ気味で再び大きなため息を吐いた。
「別に私は…真央と静綺ちゃんが付き合う事にああだこうだ言うつもりはない…。
真央も大人だし、誰と付き合おうが会社には関係ない。それに私は静綺ちゃんが寮に戻って来てくれて、嬉しいしね?
でも静綺ちゃんの立場はどうなるの?この子はあんたと違って一般人なのよ?真央はいざとなれば事務所が守ってくれるかもしれないけれど…
静綺ちゃんに少しでも危険が及んだらあんたどうするつもり?それを踏まえて自分の行動には責任を持って欲しいと私は思っているのよ」
山之内さんの冷静な言葉に、さっきまで笑っていた真央は顔をしかめた。
「俺が静綺を守る」
それは乙女的にはキュンキュンする言葉だったけれど、山之内さんは雑誌を真央の手から奪い取り頭を思いっきり叩いた。
「いってぇーな!何すんだ!」
「顔を叩かなかっただけ有難く思って頂戴!
あんたが24時間静綺ちゃんの側に居れるって訳でもないじゃないのッ!
何かあってからじゃあ遅いのよ?!」
「それは…分かってるけど…」
こちらへ視線を投げかけた山之内さんは心配そうに私を見つめた。
「静綺ちゃんは大学で実際被害にあったりしてないの?」
「被害っていう被害はありませんけど…。
やっぱりあれだけ目立つ行動をしちゃったから、他の学部の女の子たちからもちょっと有名になってます…。
まぁとはいってもすれ違いざまに姫岡真央と似合わないとかブスとか言われるくらいですけど…」
その言葉に真央の目が大きく見開いた。



