「真央くんの顔なんて毎日見てるじゃない」
豊さんは少し呆れたように笑った。
そういう問題ではないのだ。普段見せる顔とのギャップがたまらないのだ。
普段も顔も勿論好きではあるのだが。
テレビにかじりついてドキドキしたり、ワクワクしたり、気持ちが動きまくる。
1時間を15分拡大した初回放送。それでもその時間はあっという間に過ぎていく。
来週の予告までばっちりと鑑賞して、私のドキドキの1時間15分は過ぎて行った。
「面白いドラマだったねぇ~。真央ちゃんがクールで、昴が3枚目ってちょっと意外なキャラ設定だけど」
「昴くんは3枚目にちょっと無理がありますね。でもその役もこなしててさすがとは思いますが。
つーかヒロインの女優さん可愛すぎません?」
「えー、豊が可愛いって言うの意外なんだけど」
「まぁ僕は年上が好きだから興味はありませんがね。それにしても可愛すぎです」
「確かに可愛いなぁ~…瑠璃もドラマでてみたーぃ!ちょい役とかじゃなくってヒロインで!」
ふたりの話を聞きながら、録画の確認をする。
その後に放置していた携帯を手にする。
そこには真央のラインと……雄太からのラインが届いていた。
『ドラマ見たか?もう少しで撮影終わる』とは、真央。
『元気~?卒論の調子はどう?』は、雄太。
同窓会で再会して連絡先を交換してしまってから、こうやってたまに雄太からラインが来るようになった。
他愛もない話ばかりで、無視をするのもあれかと思い返信はしていた。真央にバレたら大変だけど。



