Act 8  強引な同級生と普通のデート。




年越しは寮で、お母さんからは「お兄ちゃんもお父さんも帰って来るんだから帰って来なさいよ。姫岡さんも連れて」と連絡が来た。

この母は…決して私と年越しをしたい訳ではない。ただ単に真央に会いたいだけなのだ。

けれども瑠璃さんも豊さんも年末の生放送の番組に出演するという事で、正月休みなんてもんは無し。真央も撮影が入っているし、それに付随して事務所スタッフの休みもない。

そう考えてみたら芸能事務所って結構ブラックだな、と思った。時間も不規則だし。それでも文句のひとつも言わずに働いている山之内さんたちは凄いと思う。


そんな訳で年越しは皆と一緒に寮でする事にした。

豪華なお節を作るのは初めてだった。半日もかかってしまったが、納得のいく仕上がりになった。

初詣はなし。真央に「行くか?」と訊かれたけれど、この間のように街中がパニックになってしまっては困る。丁重にお断りしたつもりが、不機嫌になってしまった。


そんなこんな過ごしているうちに真央と昴さんが主演する連続ドラマがスタートした。
その頃がピークに忙しくって、朝から晩まで真央と昴さんはテレビジャックをした。

本屋に並ぶ雑誌も真央と昴さんの顔で埋め尽くされた。その中で花乃さんが取って来た真央の表紙の雑誌が重版されると聞いた。やっぱり花乃さんは仕事が出来る人のようだ。

「キャー!始まった!主題歌も豪華だよね?!
西園寺愛歌もLUNAも瑠璃大好き~」