【完】スキャンダル・ヒロイン〜sweet〜

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そしてそんな中、真央の久しぶりのオフが幕を開ける。その休みに合わせるように最近はずっと徹夜続きで卒論に取り組んできた。

ふたりっきり。
都内にある真央のタワーマンションで、1日の半分をベッドで過ごす事になる。

ほぼ半日真っ裸だった。そして真央は眠ったり起きたりを繰り返し、起きる度に私を求める。
甘えた子猫のような目を細め幸せそうに私の体から着いて離れないさまは、いじらしくも見える。

「静綺、もう1回…」

掠れたハスキーボイスで甘えた声を出す。

「またぁ?!朝からずっとなんだけどッ!」

「何だよ…そんなに俺とくっついてるの嫌なのかよ」

嫌ではない。寧ろ甘えた声を出されて、妙な色気を醸し出されて、いつだって心臓は爆発寸前だ。

何かの警告音のように胸の真ん中はキュンキュンと鳴りっぱなしな訳で。こんなに何度も私を求める真央を愛しく思えるなんて、人間には母性本能が備わっているに違いない。それを実感しているところ。

体中のありとあらゆる所に唇を落とし、吸い付く。赤いしるしが体のあちこちに付きまくる。「止めろ」と繰り返しても、決して止めはしない。

独占欲の強いこの男らしいが…。

「お前が可愛すぎるのが悪い。
大体俺はこんなに性欲のある方ではないんだ。
しかもこんな色気のない体に欲情するとは自分で自分にびっくりしている」

さらりと失礼な事を言ってくれているじゃないか。色気がないは余計なお世話だ。

しかし痩せっぽちで胸もいつしか成長を止めた体を、真央は言葉とは裏腹にまるで大切な物のように扱ってくれるから、それだけで嬉しくなる。満たされた気持ちでいっぱいになる。