『ごめん!寝てた!』
『りっちゃんのうちに泊まってたの!』
『連絡返さなくてごめん!』

メッセージの連打。
直ぐに既読はついたけれど、返事は無かった。

これは怒っている…?ただでさえ喧嘩をしているというのに…私は何をやっていると言うのだ。
誰もいないマンションはがらりと静まり返っていて、座り心地の良い皮のソファーに腰をおろし、大きなため息。

ここに居ても仕方がない。取り合えず寮に帰ろう。立ち上がり大きな窓から都内の景色を見回してみてもため息は止まらない。綺麗な景色。この街のどこかに真央は居る。すれ違いの連続ばかりのこの街の中でやっと出会えた人と、やっと巡り合えた人とどうして心ばかりこんなにすれ違ってしまうのだろう。

寮に帰って来たら警備員のたっさんと、仕事がオフの豊さんだけが食堂のソファーに座ってテレビを見ていた。

「あ、静綺ちゃんおかえり。朝帰り?」

冗談でも笑えない。豊さんは涼しい顔をして口角を上げた。

「朝帰りではありませんッ!昨日は幼馴染のりっちゃんの家に泊まっていたんですッ!」

思わず声を荒げてしまう、そんな私の様子を見ても豊さんは余裕の笑み。

「真央くんが昨日えらく騒いでいたもんだから、静綺と連絡がつかない!って…。
同窓会会場に行こうとしたのはさすがに止めたけどね」

「違うんです…。酔っぱらって泥酔してしまって真央の連絡にも気づかなかっただけなんです」

豊さんに言い訳をしても仕方がない事なのに。

「真央くんすっごく心配してたよ。取り合えずマンションに行って静綺の帰りを待つって」

「そうでしたか…」