「そんな感じなのに中身はかなり野性的で、気も強かったよなー。チビの癖に1番高い所まで木登りしたり
校庭にあったアスレチックも得意でさ」

「そういえばそうだったかもしれない。てか、雄太って今法学部に行ってるんでしょ?すっごいねぇ!将来は弁護士?!」

「とはいっても皆から1年遅れてるけどね、大学は入り直したんだ。
だから今3年生。司法試験に受からないといけないから、将来の事はまだ分かんない。狭き門だしね。俺自体そんな優秀な人間って訳じゃないし
でも別に弁護士を目指してる訳じゃないんだ。どちらかと言うと検事になりたくって」

「検事?ふぇー世界が違うって感じ。でも正義感が強い雄太らしいね。弁護士じゃなくって検事ってところが」

「あはは~、そうかぁ~?棚橋は?今大学?」

「うん、私は栄養学科だよ」

「じゃあ将来は栄養士さんだ!就職もう決まってんの?」

「コネだけど、一応ね」

「いいね、じゃあ料理も上手だ?」

「いや…それは…」

話は和やかに進んでいった。
そういえば私って小学校の頃からこうやって改まって雄太と話した事ってなかったな。

あんまり男子と仲良くしてなかったし、どちらかと言うとりっちゃんの影に隠れてた。 それにしてもこの容姿で法学部とか絶対にモテるだろうな。

特別目が大きいとか、派手ないで立ちではないけれど、優しそうで……。
しかも喋り方も優しいし、雄太ってこんな人だったっけ?

「あのさー…」

「うん?」

ビールのジョッキを片手で持って、雄太が少しだけ目線を逸らした。そして言いづらそうに訊ねた。