Act 1  始まりはスキャンダルと共に。




棚橋 静綺(タナハシ シズキ)。22歳。大学4年生の秋に晴れて大好きな人と付き合う事になりました。

それは人生で最悪の日に出会った男で、その出会いはいつの日にか人生で最高の恋になっていった。

その相手は超人気俳優の姫岡 真央(ヒメオカ マオ)。10代から20代の女性にかけて大変な人気な彼は、どこからどう見ても美しい容姿をしていて、しかしその綺麗な口から紡がれる毒は強くて、そしてちょっぴり甘い。


私は夏休みに友人の頼みで彼の所属するグリュッグエンターテイメントの寮でアルバイトする事になり、この男と恋に落ちた。

しかしその恋が成就するまでに一波乱があり、そしてこの先まだまだ前途多難であるという事に幸せだった私達はまだまだ気づいていなかったのだ…。

「静綺…」

「真央…」

ここは、都内にあるとあるタワーマンションの一角である。

パーティールームやゲストルーム、フィットネス施設やライブラリーなどの共用施設が充実していて、コンサルジュサービスも導入している超高級マンションである。

多重のオートロック。防犯カメラ。24時間有人管理されている。

普通の大学生の私では到底住めないような物件でもある。その一室を軽々と借りてしまえるのは、彼が超人気芸能人であるが故で

今でも世界が違うとたまに思う。先ほども述べたように私は普通の一般人で大学生なのだ。