泣いて、凪いで、泣かないで。

私は慌てて裏口から出た。

青い傘を差して爽くんが帰ろうとしている。


「爽くん、待って!」


爽くんは歩き出す。

私は傘を取り忘れたから、これ以上動くと濡れてしまうからここにいるしかない。

動けないなら、叫ぶ。


「爽くん、ごめん!本当は嬉しかったよ!髪型誉めてもらえて嬉しかった!だから、爽くんのこと、嫌いとかそんなんじゃないから!」


一気に叫んで呼吸が荒くなる。

こんなに大声を出したのはいつぶりだろう。

去年の高体連で、バスケ部の応援に行った時だろうか。

ってことは、1年ぶり......

くらい、か。