泣いて、凪いで、泣かないで。

「えっ...」

「昔から、ゆっとは私を置いてきぼりにしないでくれた。本当にありがと」

「あぁ...うん...」


俺は美凪から顔を背けながら頷いた。

ふいにありがとうとか言われると、ちょっと嬉しくて、たけど、どうしようもなくなるほど、罪悪感が込み上げてくる。

数ヶ月前の美凪の言葉が甦ってくる。

あの日、あの時、あの瞬間の美凪を俺はずっと忘れることが出来ない。

そして、

あの日、あの時、あの瞬間、俺は何と言うべきだったのか分からない。

それはきっと......