泣いて、凪いで、泣かないで。

「ゆっと、食べ過ぎだよぉ」


俺がガツガツと口いっぱいに頬張っていると、汐衣愛が注意してきた。

小さな母親だ。


「お祝いなんだからいいじゃん」


俺は構わず、ミートローフを一切れまた口に詰め込む。


「主役より張り切って食べるなんて、信じらんない。配慮がたりませんわよ」

「んだよ、その喋り方?!俺をバカにするとこーなるぞ!」


俺は仕返しに汐衣愛の頬を片手で挟み込んだ。


「うわぁ!やめてよぉ」


やめてと言われると益々やりたくなる。

汐衣愛をいじるのも段々と慣れてきたからな。

もともと汐衣愛は泣き虫だし、冗談も通じないし、いじりをいじめと捉えるような繊細すぎるやつだから、今まではこんなこと出来なかったんだ。

色々と分かってきて柔軟になったから、ようやくカップルらしいことも出来るようになったということだ。