泣いて、凪いで、泣かないで。

俺はその後、顔を洗い、気を取り直して司会進行を行った。


「結月の入学を祝って...かんぱーい!」

『かんぱーい!』


俺は隣にいた妹と汐衣愛とグラスを打ち合い、ワインもどきのブドウ味のサイダーをぐびぐびと飲み干すとすぐさま料理に箸を伸ばした。

美凪も夏綺も料理が昔から得意で、中学の時、給食がない日は手作りの弁当を持ってきていた。

俺は2人から卵焼きを半分ずつもらい、食べ比べをして楽しんでいた。

美凪のはだし巻き卵で、夏綺のは少し甘め。

結局優劣はつけなかったけれど、俺の中で食べ慣れた味っていうのがあって、今ならおそらく即答できる。

ま、しないでおくが。