泣いて、凪いで、泣かないで。

「よっ、夏綺」

「部活、お疲れ様」


夏綺は昔から達観しているから、怒ったりはしない。

いつも落ち着いていて、中立の立場から的確な言葉を述べることができる。

だから、安心して話せるんだ。


「今日は急に頼んで悪かった」

「ううん」

「今度なんかお礼する」

「いいよそんなの。ワタシには煌人がいるし、ゆっとに何かしてもらわなくても十分満ち足りてるから」

「ははっ、そうか」

「そうよ」


夏綺がオノロケ発言するのはちょっと予想外だ。

もしや意外に野生的だったりして...。