美凪へ


手紙、読んだよ。

美凪のミサンガも、受け取った。

色々と遺品残して誰よりも先にいなくなるなんて、お前、本当にとことんやってくれるな。

美凪には、伝えていないことがたくさんあった。

言いたくて、でもやっぱり言えなくて、ずっと歯がゆい気持ちを抱えて過ごしてた。

だから、まず、単刀直入に言う。

ごめん。

美凪のこと、1番近くで見ていながら、美凪がいなくなるまで、存在の大きさにも大切さにも全然気がつかなかった。

美凪は俺にとって、酸素のように当たり前だけど、すごく大事なものだった。

今さらだな。

もっと早くちゃんと伝えるべきだった。

本当にごめんな。

そして、もう1つ。

あの日の俺の気持ち、ここにちゃんと記そうと思う。

美凪から別れようって言われたけれど、俺はあの時、それを阻止したかった。

美凪は、俺が美凪のことをこれっぽっちも想ってないって言ってたけど、それは間違いだ。

俺は確かに、美凪のことを好きになっていた。

美凪といると楽しくて、いじってやると面白すぎる美凪とずっと一緒にいたいって思っていた。

別れたら、このまま美凪が離れていってしまうんじゃないかって思ったら怖かった。

けど、美凪はずっと俺の側にいてくれた。

別れても変わらず、ミサンガを着けて、

俺や結月のために夕飯を作ってくれた。

当たり前過ぎて気づかなかったが、

本当はすごく、それが嬉しかったんだ。

罰ゲームで結ばれた関係だったけど、

何度も結び直したくなるくらい、惜しい関係だった。

結局、俺がちゃんと美凪に想いを伝えなかったせいで、こんなことになってしまった。

それを悔やんで何日も鬱々としていた。

けど、そんなんじゃダメだって思った。

美凪の笑顔を守れなかったなら、

せめて、美凪が繋ぎたかった人や想いを、

俺がほどけないように、切れないように、

固く結んで、何度も結び直して

生きていく。

それが、俺の使命だと思う。

美凪には、本当に色々なことを教えてもらった。

本当に感謝してる。

そして、俺と出逢ってくれて、

俺を好きになってくれて、

俺に好きだと伝えてくれて、

本当に、本当にありがとう。

美凪と一緒に過ごした日々を俺は忘れない。

美凪が命に代えて守った汐衣愛を、今度は俺が守っていく。

だから、海から見守っていてくれよ。

俺が逃げ出さないように、な。


あんまり長くなると名残惜しくなるから、このくらいにしておこうと思う。

美凪、またな。

また、どっかで会おう。

そして、その時も、俺がつねったら、頬膨らませて笑ってくれよ。

ありがと、美凪。

本当にありがと、美凪。

俺は美凪が、大好きだ。


結人より