泣いて、凪いで、泣かないで。

ボートは12人乗りのものが用意されていた。

どうやら、水城家からお金が出たらしく、汐衣愛はえっへんと威張り散らしながら我先にと乗り込んだ。

それを追って夏綺が乗り、結月、煌人、波田野、俺、おばさん、散骨業者の方の順で乗った。


「じゃあ、これから出発しますね。あまり遠くには行きませんが、揺れますので気をつけて下さい」


その運転手の合図でボートは動き出した。


「うわぁ!すごぉい!」


と、汐衣愛が第一声を上げ、


「すっげえ!」

「うん!すごいねぇ!」


と、煌人と波田野も子供に戻ったかのように無邪気な表情をして感嘆の声を上げた。

夏綺はというと、丁寧に散骨業者の方に挨拶をし、おばさんと3人で話している。

どこまでも完璧なやつだな。

さすが、夏綺だ。

俺はというと、なぜか脈が上がり、心臓がバクバクしている。

手紙にしたためた文が頭をよぎる。

直前になって焦りだすなんて、俺は小心者だな。

美凪が俺に抱いていたイメージと違うかもしれない。

美凪の中ではそのイメージのままで俺を残していてもらった方が、俺的には都合がいいな。

今更ながら、ごめん。