泣いて、凪いで、泣かないで。

俺は美凪の写真を見つめた。

おそらくスマホに残っていたであろう、夏祭りの時の写真だ。

汐衣愛が

"みーちゃんにスマホ借りて写真パシャパシャ撮っちゃった!みーちゃんのスマホ、めっちゃ画質良くて、さいっこーなんだよぉ!後で送っても~らおっと"

と言っていたから、おそらく撮影者は汐衣愛だ。

写真に映るのが苦手だったから、カメラの前に自ら立ったのではなく、汐衣愛にお願いされてしぶしぶだったのだろう。

けれど、笑ってる。

ピースして、歯を見せて笑ってる。

この笑顔を最期の写真に出来て本当に良かったな、美凪。

美凪が命がけで守ったやつは、ちゃんと役割を果たしてくれたみたいだ。

これで、少しは救われるよな?

そんなことを思いながら、俺は手を合わせた。

美凪に言いたいこと、伝えたかったこと、いっぱいあるんだ。

だけど、それは今度お前を海に帰す時にちゃんと言うから。

だから、その時まで待っててくれよ。

よろしくな。

俺はそれだけを告げて顔を上げた。

美凪の前では泣きたくない。

泣かない。

美凪の笑顔が、好き......だったから。