泣いて、凪いで、泣かないで。

いつの間にか俺は汐衣愛に触れていて、

汐衣愛の隣を並んで歩いていた。

汐衣愛には魔法みたいな不思議な力があって俺は無意識にそれにかかる。

それはおそらく出会った時から。

出会った時から俺は汐衣愛が好きだった...。

引き寄せられた心は、

引き寄せることでしか満たせず、

俺は汐衣愛の隣にいる。

そして、いつの日か俺の隣で笑っていたはずのヤツは、俺達の後ろで爪先を見つめて歩いている。

俺はそんな状況を気にしながらも、汐衣愛の話にお腹を抱え、涙が出るほど笑いながら聞いていた。

校門が近付いてきて汐衣愛が後ろを振り返って微笑んだ。