意外ときれい好きだから、掛け布団や枕を定位置に置き、部屋を出て1階に降りて顔を洗う。

大抵は俺が1番先に起きてパパッと朝飯の準備をする。

ちなみに今日は俺の妹、結月の高校の入学式だ。

俺と同じ県立光風(こうふう)高校の1年生として今日から新生活が始まる。

1年は10時登校だからまだ眠っているんだろう。

夜勤があった母も、常に寝坊助の父も無視して1人で朝のルーティーンを行う。

朝はいつも、厚切りの食パンに目玉焼きを乗せてかぶり付く。

ただ今日は、一昨日の夕飯に美凪が作ってくれたミートソーススパゲッティの具だけが残ったやつが冷蔵庫の奥底に眠っていたから、それを乗っけた。

ちなみに美凪というのは、俺の幼なじみで、3歳の時に出会って幼稚園から高校までずっと一緒だ。

道路を挟んで斜め向かいの平屋の一軒家に母と2人で暮らしている。

言ってみれば、物理的に1番近い場所にいる同級生の女子が美凪だ。

俺は、美凪が玉葱のみじん切りで涙をボロボロ流しながらやっていたのを思い出してニタニタしながら、トーストを頬張った。

歯磨きをし、制服に着替えてリュックと部活用のバッグを持って玄関に向かう。

くつ紐を結んでいるところで、がらがらと奥の部屋の扉が開いた。