泣いて、凪いで、泣かないで。

美凪がこちらを向く。

そらしたい。

本当は向き合いたくない。

美凪の気持ちが嫌でも伝わってきて、ただ苦しい。

苦しくて、胸が張り裂けそうになる。

だが、同時にそれが良くないって分かっている。

向き合うことを拒んだら、美凪がさらに傷付く。

これ以上、俺のせいで美凪が傷付くのを見たくない。

どうやっても傷付き、傷つけ合うなら、もう向き合うしかないんだ。

俺は美凪に顔を向けた。

あの日もそうだった。

美凪は俺の顔をじっと見つめて笑顔をこぼしながら、泣いていた。

美凪の右目から1粒涙が頬を伝った。

苦しいよな。

辛いよな。

痛いよな。

なのに、全部受け入れられなくて、ごめん。

本当に......。