泣いて、凪いで、泣かないで。

出てきたのは良いが、2人きりで歩くのも久しぶりだし、あんなことがあったばかりだし、何を話していいか分からない。

とりあえず俺は黙っていた。

胸に押し寄せてくる思い出の波たちに飲まれないよう、唇を噛んで耐えた。

中学時代、俺はクラスの中心にいた。

あの日もゲームをしようと言い出したのは俺だった。

だが、その敗者に与える罰ゲームに美凪が出されるとは思ってもいなかった。

俺はそんなことになるとは思わず、軽い気持ちで参加していた。

それがまさか、今日まで引きずられる大事件に発展するとは考えもしなかった。

引き金を引いたのは俺で、そのせいで美凪は散々苦しめられ来た。

いじめられ、バカにされ、泣かされ...。

そんな姿を1番近くで見てきたのは俺なのに、なんも出来ていない自分に何度も腹が立った。

ムシャクシャして自暴自棄になってこの海にでも落ちて、深くまで沈んで、もう何も見たくも聞きたくもない。

そんなことを思ったりしたこともあった。

それがただの逃げだって、

カッコ悪いって、

分かっていても、逃れたかった。

背けたかった。

自分を縛ろうとする色んなものから。

はぁ...。

ため息をついてふと顔を上げた瞬間、目の前から自転車が向かってきた。