泣いて、凪いで、泣かないで。

私は鳴海家を出て前の道路の電柱に体を預けた。

近所の人達も出店の片付けを終えてちらほら帰ってきている。

私は夜空を見上げた。

この夜空には幾千、幾万の星が輝いている。

夏の夜空を彩るのはやはり、圧倒的存在感の夏の大三角。

ベガ、デネブ、アルタイル。

小学校の時に習った。

星空観測会っていう行事があってその時は8時まで学校の校庭で先生たちと一緒に星を見ていた。

私は夏の大三角を見つけるや否や"うわあ"っと歓声をあげた。

すると、隣で星を見ていたゆっとが、"うるさい。集中出来ねえだろ"と言ってきた。

私はムカついたから、アルタイルはあっち、そっちがベガで、こっちがデネブとか鼻高々に教えてあげると膨れっ面で睨んできた。

それが面白くて私は星の名前やその伝説を覚えて得意げに話すようになった。

ゆっとと張り合って勝つのが楽しくて、

そのうちふんふんと私の話を耳をダンボにして聞いてくれるのが嬉しくて、

私は夜空を見上げ、星を探していたんだ。

今となってはもう、そんな知識があろうがなかろうが、私の話を聞いてくれることなんて、そうそうないんだけどね。


「まだかなぁ...」


ポツリと呟いて態勢を変えようとした、その時だった。