泣いて、凪いで、泣かないで。

その日の放課後。

学校からの帰り道を私は爽くんと歩いていた。


「ごめん。やっぱり1日デートは行けない。爽くんが大会で優勝することが、私へのお礼になるし、私も嬉しい。だから、大会頑張って」

「そっか...。うん...ちょっと残念だけど、仕方ない。今回は優勝して恩返しってことで了承するよ」

「わがまま言ってごめんね」

「謝んないでよ。オレが惨めじゃん」

「うん...」


申し訳ないことをした。

自分でも分かってる。

でも、それでも、

もう嘘をつきたくないから、

もう自分に嘘はつけないから、

私ははっきり自分の気持ちを伝えた。