泣いて、凪いで、泣かないで。

「爽くんに勉強教えてあげたから、そのお礼に水族館とかカフェに連れて行ってくれるんだって。爽くんああ見えても真面目なところがあって律儀だし、いい人だなぁって思った。サーフィンの練習も毎日頑張ってるし、英語もペラペラだし、すごいよね。それに......」

「もういい。分かった」


キレ気味のゆっと。

どうせこんなこと言ったって"俺が連れていってやる"なんて言わないと思うけど。


「......に......かよ」

「えっ?」


急に小声になり、思わず首を傾げてしまった。

すると、ゆっとの手がぬいっと伸びてきて、私の頬をつねりにつねった。